テルアビブ空港乱射事件 Lod Airport Massacre
こんにちは! 星野陽子です(自己紹介)。
重信房子・元日本赤軍最高幹部が出所
2022年5月28日、重信房子・元日本赤軍最高幹部が出所しました。
1974年にオランダ・ハーグの仏大使館を占拠した「ハーグ事件」で殺人未遂などの罪に問われ、懲役20年の判決を受けて服役していた重信房子・元日本赤軍最高幹部(76)が28日朝、東京都昭島市の東日本成人矯正医療センターから刑期を終えて出所した。重信元幹部は逮捕後の2001年に日本赤軍の解散を表明しているが、警察当局は現在も支援者らが組織的な活動を続けているとみて警戒する。(2022年5月28日の毎日新聞より引用)
日本赤軍がイスラエルで起こしたテルアビブ事件
日本赤軍は世界でテロ事件をいくつも起こしたテロ組織です。1972年5月30日、イスラエルのロッド空港(現・ベングリオン国際空港)では乱射事件を起こしました(テルアビブ空港乱射事件またはテルアビブ事件、英語ではLod Airport Massacre)。3人のメンバーが空港内で乱射をし、一般人24人を殺害し、76人に重軽傷を負わせました。
イスラエルはパレスチナの武装組織には警戒していたものの、警戒をしていなかった日本人によってテロを起こされたことに衝撃を受けました。
実は、日本赤軍はパレスチナ解放人民戦線(PFLP: Popular Front for the Liberation of Palestine)と連携していたのでした。
事件に先立つ5月8日、パレスチナ武装勢力が同志の奪還を目的に同空港で起こしたハイジャックが失敗に終わり、メンバーがイスラエル当局に射殺されたり逮捕されたりしていた。襲撃はその報復として計画された。アラブ人では空港の厳重な警戒を潜り抜けるのが困難だとして、有力な武装勢力だったパレスチナ解放人民戦線(PFLP)に協力する日本赤軍の岡本ら3人が実行役を担った。(2017年5月30日の毎日新聞より引用)
岡本公三容疑者
3人の実行犯のうち、二人は自爆して死亡したのですが、岡本公三容疑者は逮捕されました。
岡本容疑者は、イスラエルで裁判にかけられ終身刑を言い渡されました。1985年に捕虜交換で釈放され、現在はレバノンで「英雄」のような扱いを受けて暮らしています。もちろん日本の警察は岡本容疑者を国際手配しています。
厳しい取り調べか、過酷な収監なのか、わかりませんが、岡本容疑者は精神がおかしくなって統合失調症にかかったそうです。
(こちらは英語でのニュース番組ですが、英語がわからなくても、動画から事件の悲惨さや、岡本容疑者の様子がわかるかと思います。)
2017年の毎日新聞のインタビュー
2017年に、毎日新聞の記者がレバノンで岡本公三容疑者にインタビューしています。これは貴重な記事ではないでしょうか。有料記事なので、購読されていない方はどこまで読めるかわかりませんが、インタビュー時の岡本容疑者の考えや姿を知ることができます。
https://mainichi.jp/articles/20170530/mog/00m/040/008000c
インタビューの中で、岡本容疑者は「けがをさせた人を含め、犠牲者には哀悼の気持ちを持っている」といいますが、その一方で「事件はそもそも「テロ」ではなく、PFLPと共同で起こした「武装闘争」でした。武装闘争は最高のプロパガンダになります」と語っています。PFLPに保護されている立場で事件の謝罪をするのは困難なのかもしれないと、記者が推察されています。
ただ、重信元幹部も「政治的に直接関係のない方々に心ならずも被害や、ご迷惑をおかけした」と謝罪する一方、「自分が『テロリスト』だと考えたことはない」と言っています。もしかしたら、あの「武装闘争」はプロパガンダであり、間違っていないと思っているのかもしれません。パレスチナにイスラエルが建国され、国を奪われたと主張するアラブ人のために、なぜ日本人が命をかけてテロを起こさなくてはならなかったのかと、私は疑問に思っていました。彼らにとっては命にも値するプロパガンダのためであったとしても、やはり武力を使うのは間違っているかと思います。
2014年にベングリオン空港で私が撮った写真。セキュリティーは厳しかったです。